70才の3月、退職の日がやってきました。
拍手。
ハグ。
プレゼント。
最高の賛辞と感謝の言葉。
笑顔で、さっそうと退場するしかありません。
私も、伝えきれない感謝と感激で興奮気味です。
定年退職後の変化
華々しいスター気分の退職日を境に、「身分」を失いました。
振り返って感慨にふけっていられるのはせいぜい数日です。
やがて、キラキラのプレゼントとは対照的に、寄る辺なき迷子の気分です。
諦めの悪い打開策をあれこれ
1 直球打開策
もっと働きたかったし、若いころよりずっと有能になっている自信もあったので、求人を見つけて応募すること数か所。
若い人に混じり試験も受けました。
大学受験予備校講師の口です。
空きが出たら連絡します、ということで、希望を持って待ちつづけたものの、一向に連絡はありません。
問い合わせると、
― 若い人で一杯になりました。空きが出れば、・・・ ―
ある予備校では、親切な人にこう言われました。
「受講生の立場になると、『去年まで君たちと同じように勉強してて、東大に合格したよ。頑張ろうね』という年の変わらないお兄さんお姉さんと、経験豊富で教え方の上手な高齢者と、どちらがいいと思うでしょう。」
また別のところでは、
「1時間半、生徒の間を歩き回って授業していただきたいので、先生用のイスはありません。大丈夫ですか?」
分かりました💦
社会から対等に扱われない年齢なんです。
まして予備校は激しい競争で受講生を取りっこしている業界ですから、「若い」ということはとても重要な商品価値です。
雇うのに不安材料は避けて当然です。
それも分からず愚かに、年齢制限がないのをいいことに額面通りに反応する私のバカさ加減が笑えます。
この話にあきれる方は多いことでしょう(/ω\)
2 学習の結果選んだ打開策
年齢が問題になる職場はダメだと学習したので、
1 年齢を問われないことが第一条件。
ズバリ、ネットです!!
2 自分が続けられる興味のあることが第二条件。
☆ずっとやってきた翻訳は?
演劇や映画の翻訳をプロデューサーからの注文でやっていましたが、プロデューサーが亡くなったり、高齢化したりで、業界は代替わりしています。
☆自作自演一人芝居の女優業は?
舞台でやるには、元手と時間がかかり過ぎます。
☆本業の英語関係以外では、ずーっと50年以上続けてきた手芸は?
これ、よさそうです。
対象範囲も広そうだし。
3 あまり元手が必要でないことが第三条件。
うーん、手芸には材料費がかかります。
でも、ネットで売るなら、一度に商品を揃えなくていいので、何とかなりそうです。
それに、場所もいらないし。← これはすごい強味です!!
こうして考慮の末に、まず手始めに選んだのは、ネットで手芸作品を販売することです。
ネット販売の準備
1 手芸作品販売の準備
手芸作品を販売させてくれる手芸サイトを調べ、いくつかよさそうなところを選んで、研究しました。
どんな物が出せるのか、どういう人が出しているのか、センスやレベルもよく調べました。
目から落ちたうろこの数は知れません。
幅の広さもレベルの高さも、半端じゃありません。
舌をまく職人技、普通のセンスじゃ理解できないほどのアーティスト、年季、丁寧さ、アイディア、それがピンキリで混在しています。
自分のレベルも最初は分かりませんでした。
何が一番いいのかも(これは今でも)分かりません。
こうなると、自分なりのコンセプト、基準が大事です。
ラッキーなことに、これははっきりしています。
最初から今も変わりません。
☆作る私が、ウットリするほどキレイで、作る喜び、使う喜びが味わえるものを作る。
☆材料がもっている美しさの可能性を見つけるまでは手をださない。(つまりいいデザインが思いつくまで)
☆試行錯誤の手間をめんどうがらない。
作品作りで試行錯誤は当たり前ですが、写真の撮り方も、PC操作の勉強も必要です。
どれが先か、なんて言ってられません。
思いつくまま気の向くままにどんどん実行していきました。
講習会や勉強会にも必要に応じて参加しました。
2 お金の管理の準備
実は、いずれ自分で仕事をしたいと思っていたので、まだ在職中から簿記の勉強を始めていたのです。
参考書を読んで問題集も用意していたのですが、ネット販売を決めてからは本気で取り組み、退職から一年後、日商簿記3級をとりました。
これは、かなり脳トレになったと思います。
高齢者には簿記がおすすめです!
老化防止に数独〈ナンプレ)をやるのもいいですが、私は高齢者には、簿記をお勧めします。
大きな数字の計算は、当然、脳の訓練になります。
続けている間に、スピードも正確さも上がるので、それがはっきり自覚できるのは嬉しいです。
私の場合は、計算器を使うより筆算した方が速くて正確だったのが、数カ月すると、計算器が手放せなくなりました。
指の訓練も出来たのです。
筆算の速さをやすやすと超えました(当たり前💦)
でも、簿記の神髄は、たんなる計算などにはありません。
簿記とは、お金の計算ではなく、お金の流れの理解と整理の方法です。
計算はそれに付随する技能の一つにすぎません。
簿記の勉強は取引関係を立体的に理解するので、脳の広い範囲を働かせることになります。
ここは分からないから飛ばそう、というのでは成り立ちません。
全体を一つの流れとして理解し、区分整理ができてはじめて完了します。
脳の血流もよくなってるような気がしますよ(笑)
高度なゲーム感覚で取り組むといいでしょう。
そして、結果として、簿記の資格が付いてくるなんて、一石二鳥です。
それに、試験があった方が、本気で取り組めるでしょう(笑)
簿記3級に合格したら、いよいよ新しい社会参加のはじまりです。
あ、ネット社会に参加するのに、簿記の資格は全くいりませんので、念のため。
さっさとネットに取り掛かることをお勧めします。
実体験からおすすめ、その2 につづく